
変化のステージモデルの口腔保健分野応用の可能性
―第3報 おもに定期健診患者の評価―
○福原稔12、) 吉田弥代12、) 福原早紀12、) 田村達二郎2) 森岡敦2) 津田真2) 文元基宝2)
1)フクハラ歯科医院 2)関西ウエルビーイングクラブ(KWC)
【目的】
口腔疾患の治療や予防のためには口腔保健に関する教育や学習がされ、患者の口腔保健行動(以下 保健行動)の変容からライフスタイルの定着をめざす。そのために、行動をとり始めて定着するまでをプロセスとして理解して、その段階にあった適切なアプローチが必要となる。そこで変化のステージモデルで保健行動の段階の分類と、患者の保健行動の捉え方の関連から次の点に関しての検証をしてみた。
A 保健行動の定着までのプロセスを「変化のステージモデル」という尺度でみることができるか?
B ステージにおける患者の行動変容に対するアプローチのポイントはあるのか?
【方法】
平成18年3月から3ヶ月間に定期健診や保健指導を実施した20歳以上の患者に指導終了時に質問票の調査とインタビューをおこない、263名(男76人、女187人)より有効回答を得た。口腔保健行動を、ステージモデルをもとに8段階(維持期はメンテナンス継続期間で4期に細分化)で評価し、1)保健行動のコントロール感を「余裕を持っている」「努力している」、2)保健行動のコントロール所在は「自分にある」「専門家にある」、3)予防行動の意義の認識は予防のメリットは「歯や口の健康」「体の健康」「生活や生きがい」に関して、4)予防に関して重要性の認識では5段階でそれぞれ評価した。(表1)
表1 問診表 (別ウィンドウで開きます)
【結果】
ステージ評価は、無関心期0名、関心期5名、準備期20名、実行期33名、維持期205名(内訳:0.6〜1年未満21名、1年以上〜2年未満21名、2年以上〜3年未満30名、3年以上133名)となった(表2)。コントロール感の評価で、「余裕を持っている」が実行期30.3%から維持期-1年以上2年未満76.2%まで顕著に増加する(表3、A)。コントロール所在の評価は、「自分にある」が準備期70.0%から維持期-1年以上2年未満100%まで緩やか増加する。予防行動の意義の認識は、「歯や口の健康にメリットを感じる」が準備期30.0%であるが維持期-6ヶ月以上1年未満で95.5%へと急増する(表3、B)。予防に関して重要性の認識は、「予防は非常に大切と思う」が準備期・実行期36.4%が維持期−0.6〜1年未満61.9%と大きく変化した(表3、C)。「予防は非常に大切と思う」が維持期1〜2で23.8%と大きく低下する(表3、D)。
表2 , 表3 (別ウィンドウで開きます)
【考察】
A 口腔保健行動の定着までのプロセスを「変化のステージモデル」という尺度でみることができるか?
保健行動に伴う価値観の変化やコントロール感の変化が、ステージモデルの準備期、実行期などで特徴付けられるので、この時期では「変化のステージモデル」という尺度でみることができるかと考える。しかし、維持期0.6〜1あるいは1〜2においてのEにあるように定期健診のドロップアウトがあることが疑われるが、そのことは、コントロール感の安定の中で予防の重要性の認識の低下D、いわば「気の緩み」とでも言う状態があるのではないか。そのことから2年を過ぎて初めて保健行動が真にライフスタイルとしての定着化がなされると考えられる。
B ステージにおける患者の行動変容に対するアプローチのポイントはあるのか?
準備期実行期は予防の具体的メリットや予防の重要性に焦点を当てるといいと考えられる。維持期はコントロール感でがんばってる感が強いので負担にならない配慮が必要と思われる。保健行動を取り始めて1年以上2年未満の時期が、保健行動の捉え方の変化が見たれ、定期健診からのドロップアウトが疑われる。私たちは患者からその変化を察知して対応をすることが、口腔保健行動の定着化の重要なターニングポイントと思われる。
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