
- 平成17年度 KWCフッ化物研修会報告書
- 開催日: 平成17年5月22日
- 場所: TBホール
日本では諸外国に比べ、フッ化物利用が積極的に行われていないのが現状です。私達はこれからフッ化物の正しいう蝕予防効果や応用方法等の知識と安全性を理解し、現場での実践に繋げていきたいと考え、今回「広めよう!!伝えよう!!フッ化物の重要性」と題して、フッ化物に詳しい講師の2人の先生をお招きしました。

午前10時より、テーマ:「神戸市フッ化物洗口の経過と診察室でのフッ化物応用」として、神戸市でご開業されています近藤明徳先生にご講演していただきました。
近藤先生は、神戸市歯科医師会 公衆衛生委員会委員長 をされておられ、神戸市の保育園でのフッ化物洗口実施を実現に尽力されてきました。その取組みのご報告と提唱についてご説明頂きました。
まず今年4月より神戸市の全保育所で実施されているフッ化物洗口の特徴については、
- 政令指定都市では初めてであるということ
- 歯科医師会の要望で実現したこと
- 167保育所、4・5歳児 約8,000人規模であること
- 年間予算420万円でよい
- わずかな費用(1人あたり年530円、2年目以降345円で実現できる
ということです。しかし簡単に開始できたわけではなく、対応の遅い行政を動かして現在の状態になるまでに、足掛け8年を要されました。
平成13年末からのモデル実施で、参加率97%(4・5歳児)1年後1人あたり0.93本のう蝕減少(5歳児)効果や医療費の減少効果、集団実施のため家庭環境に左右されない利点も見られ、6歳臼歯は4歳からの実施で約80%のう蝕予防が可能であることが実証されたとの事です。
ただ、フッ化物洗口の集団実施について、一部団体によるフッ素の毒性を指摘する意見などもあり、現状としては、当局の担当者や現場の保育士へのフッ化物の安全性に関する正確な情報の提供やう蝕メカニズムとフッ化物洗口による予防効果の啓蒙、およびマニュアルの周知が必要、と超えるべきハードルも多いのではと思われました。
けれども現在、はっきりしているのは
- フッ素は自然環境物質である
- フッ素はヒトの健康に有益な物質である
- フッ素の危険性は解明されている
- 国内外の専門家が応用を推奨している
- 長期間、多地域での応用による実績がある(フロリデーション)
ということ。必要なのは、効果を信じて継続させる強い意思を持つ事だと熱心に提唱されていました。

午後からは、国立保健医療科学院・口腔保健部で口腔保健情報室長をされています安藤雄一先生から、「フッ化物応用概論」としての講演を頂きました。
なおここからは講演に先立ち、KWC代表の文元基宝先生が司会役を務め、受講者の方々にまず12グループに分かれてグループワークを行っていただきました。
グループワークの内容は、「今回の講演に期待する事、聞きたいこと、質問事項など」です。そして、我々KWC会員がグループにファシリテータとしてそれぞれ付いたのですが、さすがに関心の高さと情報の不足を日常や現場で痛感されているのか、約30分のグループワークでは時間が足りないくらい多くの質問事項が挙げられました。
そして各グループからまとめて発表を行い、それに安藤先生が答えていくという形で講演を進めていきました。やはりここでもフッ化物の安全性や毒性、フロリデーションの効用、塗布や洗口の有効性、作用機序等、フッ化物に関するEvidence等々に項目が集中。安藤先生も精力的に1つ1つの質問に対する回答に努めていただきましたが、何分、ホワイトボードがいっぱいになるほどの項目のため、ここでそれぞれをご紹介することができないのが残念です。
しかし最後にこれを1つ1つをクリアしていく事が今回の研修会を主催した我々の使命であると感じました。こうしてフッ化物をテーマとした研修会も盛況のうちに終了する事ができ、確かな手応えを感じながら、参加者みんなで懇親会へと会場を後にしました。 |