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KWCの活動内容

今回のシンポジウム如何だったでしょうか? 気づきや受け止めた事、分かりにくかったことなんでも結構ですのでご意見お待ちしております。半構造化インタビュー例の解説もあわせてごらんください。


健康支援の為のコミュニケーションスキルを養おう

ここ20数年間、医療の現場で「コミュニケーション」が重要だ!と謳われています。まず、「接客、接遇」研修がありました。元スチュワーデスの経験を生かした講師の研修などが花盛りの時代です。それからは、「カウンセリング」や「コーチング」などが流行しています。

そんなに「コミュニケーション」は難しいのものでしょうか?
難しくしているのは「何」なのか?
この「問い」にKWCは次のように捉えています。

  • ほとんどの人は、コミュニケーションがとれている
  • 医療の現場では、コミュニケーションがとりづらい環境にある。

コミュニケーションスキル

ほとんどの人は、コミュニケーションがとれている

・メタコミュニケーション

ある会社で、昨日、早退したOLに対して、同僚が「昨日、何で帰ったの?」と尋ねたとします。あなたならどう返答するでしょうか?

「電車で」と答えた人は、コミュニケーション能力が低下しています。殆んどの方は、その問い「何で、帰ったの?」に対して、瞬時に、帰宅手段についてではなく、帰宅理由の問いであると判別しています。

このありふれた会話の裏には、メタコミュニケーションがあるのです。我々は、無意識にこの「メタコミュニケーション」を使用しているので、あらためて、気づいていないだけなのです。

メタコミュニケーションとは、コミュニケーションをする為のコミュニケーションであると言えます。

我々は、この能力を幼児期から常に他者との経験を通じて、学んできました。「メタコミュニケーション」を学習できない限り、コミュニケーションは取れないと言っても過言ではないでしょう。

だから、社会生活をすでに営んでいるほとんどの方々は「コミュニケーション」能力が備わっているのです。

医療の現場では、コミュニケーションがしづらい環境

・今までの医療者・患者関係

今までの歯科医療は、「詰めて終わり、歯を抜いて入れ歯を製作して終わり」、いわば、「終わりのある医療」でした。治療の終了が、患者と医療者の関係が終了する。

その時代では、多くの患者は「歯の健康」において、治療が終了すれば、健康が回復したものだと思いました。だから予防的発想は重要ではなく、「歯の健康」においては、当然日常生活の中よりも、医療現場にありました。

具合が悪くなれば、歯科医院に訪れ、健康を回復してもらう。その繰り返しがつづき、ますます医療者に対して、依存した関係が深まります。

診療結果が良好に継続していく中では、医療者・患者関係において「メタコミュニケーション」は成立していたのです。

患者は医療者を信頼し、指示に従えば健康になれる。医療者は、正確な診断と適切な処置をするために、知りたい情報を問診し、最善な治療を提供する。
いわゆる「パターナリズム」が存在しているなかで良好な医療者・患者関係が成立していた時代があったのです。

・健康観の変化に伴う、医療者・患者関係

平均寿命が80歳まで延びた現代、歯の寿命の方は、遅れをとって来ました。高齢になるにつれて、歯の健康を害して、「噛めない」「笑えない」などのQOLが低下した人が増加していきます。身近に、歯で困っている人と出会う機会が増えてきたのです。

将来においても、「健康でありたい」
また、時代と共に、健康観、価値観の変化が起こり、確実に住民は「歯がもたらす」価値

  • 「美しい笑顔」
  • 「活力の源」
  • 「老後の食の楽しみ」

など、様々な口腔の健康がもたらす価値を求めます。

ヘルスプロモーションは、「人々が自らの健康をコントロールし、改善できるようにするプロセス」と定義されているように、その多様性ある健康への考え、行動は、人々はあまねく持ち合わせているものです。

医療者においても、予防の重要性を感じ、取り組みを開始しています。ただ、今までの治療の目で、患者の予防行動を指導する。医療者が発するメタメッセージ(私の指示に従ってほしい)を敏感に察知し患者は、歯科医院において、「患者は発言を控える」という暗黙のルールに従うのです。
(いわゆる一方的な指示や情報提供=one way communication)

「歯の健康づくり」は日常生活の中にあると実感している患者は、医療者に対して

  • 「もっと説明がほしい」
  • 「もっと話を聞いてほしい」
  • 「要望をかなえてほしい」

など「私にあった健康づくり」の支援を期待しています。(いわゆる相互交流、相互理解=two way communication)
だから、健康づくりの情報を、「あるある大辞典」「たけしの家庭の医学」などから求めざるを得ないのでしょう。

以上のように、現代では、疾病構造の変化や健康観・価値観の変化が起こす要因と時代に対応しない医療制度の問題などが関連し、医療者からの視点と患者からの視点は、それぞれの背景や事情により異なります。
それが、メタコミュニケーションを成立しずらい状況にしているのです。言い換えれば、コミュニケーションシステムが機能していない現実に医療の現場は支配されているのです。

メタコミュニケーションを成立し、円滑なコミュニケーションを図るには、まずは対話の時間を設けて、患者が発する「メタメッセージ」を受け取る感度を高める必要があるのです。

メタコミュニケーションを成立させるために

・コミュニケーション

コミュニケーションを円滑に行うには、当事者の人間関係とメッセージの「内容」が互いに関係しあいます。
信頼できる人間関係であれば、メッセージの内容は、誤解がなく通じあいます。
初対面や信頼できない関係であったなら、その「メッセージ」は通じ合わない可能性があるのです。

もともと、コミュニケーションの目的は、相互理解(意味の共有)のはずです。医療者は患者に従属させたり、支配的な態度をとらないようにします。人間同士の交流によって、お互いの関わり方や、コミュニケーションの仕方(メタコミュニケーション)を決めるのです。

「コミュニケーションは、一連の共通ルールに従い情報を分かち合うプロセスである」と定義されます。

・メタメッセージ

冒頭の早退したOLの話題に戻りますが、どうして私たちが、誤答をまぬかれているのか?
「何で帰ったの?」という問いかけに対して、私たちは常に「この人は『こう訊くことによって何を訊きたいのか?』」という「問いについての問い」を返答に先立って、自分に向けているからです。

  • 「あなたはそう訊くことによって何を訊きたいのか?」
  • 「あなたはそう言うことによって、何を言いたいのか?」
  • 「あなたはそうすることによって、何をしたいのか?」

といった種類の問いを「メタメッセージ」(上位メッセージ)といいます。

このメタメッセージを、コミュニケーションが進みにくい(メタコミュニケーション)医療の現場において、我々は注目する必要があるのです。

このメタメッセージの共有化が、人間関係に大きく反応し、メタコミュニケーションの成立に結びつくのです。

・メタメッセージの共有化

患者が発するメタメッセージを読みとり、共有するにはどうしたらいいのか?
まずは、スキルから学ぶ方法があります。
電話での会話は、原初のメタメッセージであるといわれています。

「もしもし」(この回線はつながっていますかというメタ)
「もしもし」(「はい、聞こえていますよ」と応答するメタ)

まずは、お互いがコンタクトしていることを確認しあう、「オオム返し」です。

そこから、患者の「世界」である「その人の価値の中に入っていく」
いわゆる「患者の物語」の読者としての立場で、その世界を共感的に理解します。

そのためには、コミュニケーション感度(言葉の強弱、リズム、高低、と表情、しぐさなどの非言語的メッセージ)をあげる必要性がある。
「言葉の字義」とおりに受け取っていいのかを、判断します。「赤ん坊」の発する「泣き声」や「しぐさ」から赤ちゃんは何を望んでいるか、のように。
また、電波の悪い山奥で、雑音が混ざったラジオ音声から内容を理解するように。日ごろから、トレーニングする必要があるのです。

相互交流のプロセスから相互理解 そこから「つながり感」が生まれるそれによって支援の意味も変わってくる

・(支援する側、される側が)表裏一体となった「人間同士」の関係

最初は、メタメッセージの共有化から始まり、その後の交流が深まります。
そのことは、患者の価値観と医療者の価値観がお互いに影響しあい、ひとつの共有された「健康の価値」を創造します。

治療に伴う苦難や健康を回復した達成感など、治療や予防のプロセスを共に体験していくなかで、「健康」についての意味を分かち合います。
患者は「支援されている」安心感や満足感、医療者は「やりがい」を感じながら、お互いが「つながり感」をもった関係になります。
そこには、健康を創造していく「プロセス」を共に出来る喜びが感じとられるのです。
友人でもない、家族でもない関係でありながら、メタメッセージが瞬時に共有できる医療者と患者の関係は、もはや「スキル」に頼らなくていい関係になっているのです。

ヘルスプロモーションは、
「人々が自らの健康をコントロールし改善することが出来るようにするプロセス」
と定義されているように、その多様性ある健康への考えや行動に対して、患者との相互交流、相互理解、そして「つながり感(スピリチュアル)」を共にする「ゴール」のない「プロセス」のなかに、我々医療者の支援のあり方があるのです。